手前味噌の野望

今月、「お味噌の会」に参加させていただき、初めて自分で味噌を仕込んだ。
どんなに手間暇かかっても、今年はやりたかった味噌づくり。
いや、やりたいというより、やらねばならぬ!と思っていた。
昨年いただいた手作り味噌があまりにも美味しくて、もう他のものに満足できなくなってしまったのだ。

まろやかで香りがよく、ふんわり口の中で広がる深い味わい。
味噌をお湯で溶かすだけで十分に美味しいし、鍋の味付けやディップにしても旨い。
月日とともに色がどんどん濃くなって、味が変わっていくのも楽しみだった。
味が良いから、家族は喜んで味噌汁を飲み干す。
おのずと味噌の消費量が上がり、いただいた味噌は全部なくなってしまった。

というわけで、10㎏の味噌づくりに挑戦した。

【下準備】

①大豆を洗い、水に1日水に浸す。

大豆が膨れ上がってびっくりした!
黒豆は何度も炊いたことがあるから豆が水を含んで大きくなるのは知っていたけれど、なんせ量が違う。わが家で一番大きな鍋を使っても容量が足りず、2つの鍋に移し替えた。

②大豆を煮る。

豆が指でぷにゅっとつぶれるくらい柔らかく、と言われていたが、なかなか大豆は手ごわかった。4時間以上煮て、やっと柔らかくなってきた。
煮ている間は、家じゅうに大豆の香りが充満する。
ふんわりした心地よい香りだと思っていたが、どうも家族は違ったようで…。かといって、私が一生懸命やっているので文句は言えない。
気がついたら窓が開けられていて、夫の部屋からはキツい芳香剤の匂いが漂ってきた。
火を入れてから4時間半。
本当はもっと煮たほうがよいのだろうが、夜の11時を回ったので次の作業へ。

③大豆をつぶす。

茶色くなるまで柔らかく煮た大豆を、マッシャーでつぶす。
これが思った以上に重労働だった。
家族が寝静まった夜中、無心でひたすらつぶして、つぶして、つぶして…。
やっと終わったのは、夜中の1時を過ぎだった。
来年は、もっと早い時間から準備を始めよう。(反省)

【味噌づくり当日】

④麹と塩を混ぜ合わせる。
麴の香りと手触りがとても良くて、気持ちのよい作業だった。手がきれいになりそう。

⑤つぶした大豆と④を混ぜる。
大豆を煮た煮汁で少しずつ柔らかくしながら、混ぜ合わせる。粘土遊びみたいで楽しい。

⑥容器の中に詰める。
適度な柔らかさになった⑤をおにぎりのようににぎって、空気が入らないように容器の中に詰めていく。

⑦蓋をする。
味噌の上に酒粕を伸ばして蓋をする。その上からラップをかけて密封する。

当日は、マスクとフェイスシールドをして、経験者の皆さん、先生と一緒に味噌づくり。
いろいろ教えてもらったり、助けてもらったりしながら、もくもくと楽しい作業に取り組んだ。

味噌は6月くらいから食べられるようになる。
まだできていないけど、自分で作った味噌を愛でる気持ちがよくわかる。
「手前味噌」とは、よく言ったもんだ。
上手くできたら、親しい人たちに配ろう。
たっぷりの愛と、ささやかな自慢を添えて。