名宿の取材(由布院 玉の湯)

旅行雑誌の仕事で、先週、大分県の由布院 玉の湯さんを取材した。
気持ちのよい秋晴れ、美しい山々の景色に迎えられ、一気にテンションが上がる私とカメラマンさん。
現地に到着し、まずは腹ごしらえ。
暑かったので、冷たい「かぼすうどん」を食べた。

本当にカボスとうどんしか入っていない。
潔いメニューだなぁと思いながら、ひと口、汁をすすり、爽やかな旨みに驚いた。
「これ、おいし~!」と顔を見合わせ、コシの強い麺をもくもくと食べる。
柑橘類はもともと好きだが、これ以降すっかりカボスにはまった。
おひたしや魚にかけたり、肉のマリネに使ったり、毎日いろんな料理に登場している。

玉の湯は、由布院の中心地にありながら、少し奥に入った場所に位置している。
雑木林に囲まれた静かな環境で、さわさわと木の葉が揺れる音が心地よい。
鳥のさえずりも聞こえ、宿の入り口に立つだけでワクワクしてくる。

客間には源泉かけ流しの内風呂があり、広々とした設計で、どの部屋からも森の中にいるような景色が望める。
大浴場では、自然光の明るさに驚いた。それほど広さはないが、天井が高くて開放感がある。
こちらの写真は露天風呂。


敷地内にあるカフェ、バー、売店もセンスがよく、ほっこり和む空間。

私が心奪われたのが、ロビーと談話室の本棚にあるたーくさんの絵本と本だ。これはずーっと居たくなる。木のぬくもりを感じる談話室で、気の向くままに本との対話を愉しみたい。

玉の湯の雑木林は、かつては田んぼだったそうだ。
50年ほど前、創業者が「由布院らしい素敵な田舎をつくろう」と志し、山の土を盛って木を植え、山と一体化するような自然な林をつくりあげた。
山の生態系に詳しい専門家の力も借り、長い年月をかけて多くの人の手で育ててきたものだと知り、感慨深かった。

玉の湯さんの他に、電話とメールで3軒の温泉宿を取材し、この1週間は全国各地の名宿を想像の世界で満喫した。
大地からあふれだす源泉、雄大な景色、地元の食材を使った美味、あたたかいもてなし。
やっぱり、温泉っていいなぁ~。
今回ご縁のあった宿はどこも魅力的で、実際に全部行ってみたくなった。
新たな人生目標、野望ができた。