連載終了!

ちょうど1年前、西日本新聞に連載をスタートした「今どき紫川紀行」が3月で最終回を迎えた。
川沿いに咲き誇る桜並木、源流、滝、流域の建造物などさまざまな風景を題材に、西川幸夫先生が描いた絵に文章を添えてきた。
短い文章ではあるが、歴史や事実関係など調べることがいろいろあって、執筆にはそれなりに手間暇がかかった。

最終回の原稿を書き始める頃、「杜人」という環境蘇生のドキュメンタリー映画を観た。
地球は呼吸をしている。
人は大自然の循環の中で生かされている。
映画にとてつもなく感動し、川、森林、自然、地球、命という壮大なイメージで頭の中がいっぱいになった。

地球の循環や命の尊さを何とか伝えたくて、いつも以上に文章がまとまらない・・・。
日を置いて内容を見直し、絞り込んで何とか所定の文字数にまとめ、新聞社の編集部長さんの的確なチェックを経て、最終回の文章が完成した。

編集部長さんからメールでいただいた言葉
「最終回は神田さんの思いが詰まり、とても練られていると感じました」

なんで自分はこんなにも書けないんだろう。
と悩みながら、何度も推敲したプロセスは無駄じゃなかった。
ちゃんと見てくれる人には伝わるんだ。
報われた気がしてうれしかった。

終ったー!! やり切った!
がんばったね、私。
西川先生、西日本新聞さん、ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

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【今どき紫川紀行㉒】 海と山をつなぐ命の水 

河口(小倉北区浅野)アクセス=JR小倉駅下車、徒歩約10分

福智山を水源とする紫川は、田園地帯を経て市街地を通り、響灘に注ぐ。川は地球の血管ともいわれ、人の暮らしや産業を支えるだけでなく、山の恵みを海に運ぶ大事な役目を持っている。

森林の土壌に含まれるさまざまな栄養は川に溶け出し、流れていく。海水より軽い淡水は河口では上層にあり、太陽光を受けて植物プランクトンを増殖させる。これが食物連鎖の起点となり、魚の餌が増え漁場を豊かにするという。

河口付近の川沿いにある水環境館。地下の大きな透明版からは、海水と淡水が2層に分かれた「塩水くさび」を観察できる。多くの水生生物も展示され、紫川が命の宝庫だと実感させてくれる。

水の流れは大地の呼吸だ。大きな恩恵に感謝し、美しい環境を守っていきたいと思う。(画=「四季彩」主宰西川幸夫/文=ライター神田優紀)