紫川紀行の展示会とイベント

西日本新聞に連載した「今どき紫川紀行」の原画展が、北九州市水環境館で開催された。
昨年8月に他界した淡彩画家・西川幸夫さんの最後の作品となった紫川。
4月17日から6月16日までの2カ月間、多くの方々に西川さんの絵を観ていただくことができ、託された思いを叶えられたようで心底ホッとしている。

紫川流域のどの場面を絵にするか、企画を考えるときにお世話になったのが北九州市水環境館。館長さんのお知恵を借りて、何とか企画ができた。
水環境館での展示会は、西川さんの願いでもあった。

原画展を記念して、4月30日にはトークライブが行われた。
館長の「思いつき」がトントン拍子に実り、西川さんの生徒さんたちの協力も得て実現に至った。
絵を大きなスクリーンに映しながら、エッセーを担当した私が取材裏話を、西川さんが主宰していた淡彩画教室の方々が思い出話を披露。
途中でフルート演奏やシンギングボウル演奏も交え、美しい音色に癒された。
会場は満席となり、皆さんと思いを一つにできたような、温かいつながりを感じるイベントだった。

トークライブの様子。マイクを持つ私

トークライブは、新聞にも掲載された

6月11日(日)には、朗読会も行われた。
「今どき紫川紀行」のエッセー全文を、朗読グループ「おとうぎぞうし」の皆さんが朗読した。
当日は客席に座り、連載を振り返りながら言葉の響きを楽しんだ。
人の声には、それぞれの「色」と「温度」がある。
明るい声、温かい声、柔らかい声、芯のある凛々しい声・・・。
紙面の言葉が、いろんな天性の楽器で奏でられ、生き生きと伝わってきた。
スクリーンの絵を観ながら、取材で行った場所の風景が浮かび、紫川の起点から河口までを一気に旅した気分になった。

展示会は明日が最終日。
西川さんとの出会いから、紆余曲折の企画、走り回った取材、四苦八苦の文章作成、手探りの展示会準備等々、これまでの出来事が次々と浮かんでくる。
いろんな方々と連絡を取り、たくさんの協力を得て、思いがけないイベントまで開催できた。
多くの人を巻き込んだが、皆さんが喜ぶ姿を見て、私も心から満たされた。

さて、紫川を巡る冒険は、これで一区切りだ。

今月からPCの待ち受け画面を、紫川上流のお気に入りの写真に変えた。
あの清らかで美しい流れをいつも感じながら、過ごしていきたい。