鹿児島・指宿へ出張取材

多忙を極めた12月半ば、急遽、鹿児島県指宿市で取材の仕事が入った。
全国版の旅行雑誌。
おもしろい内容だし、紹介案件ということでお引き受けしたけれど、スケジュールはきつかった。
他に抱えている制作物も、締切は12月2~3週目。
顧客が求める制作スケジュールは、どうしても重なってしまう。

締切の関係で、取材候補日が1つしかないプレッシャーのなか、取材依頼の電話やメールをして、4件の取材アポが入ったときは心底ホッとした。

カメラマンさんと一緒に小倉から新幹線で鹿児島に向かい、鹿児島中央駅で特急「指宿のたまて箱」に乗り換えて、指宿へ。


なんで、たまて箱?と思ったら、指宿は浦島太郎伝説発祥の地で、龍宮神社もあるという。
知らなかった~。
確かに、浦島太郎の話は北国って感じではない。南九州っぽいよな。
ガタンゴトン、レトロな列車の車窓から、桜島が見えた。


鹿児島に来たんだなぁ!
すっかり多忙な日々を忘れ、旅気分でわくわく。
指宿駅からはレンタカーで取材地を回った。

九州一広いカルデラ湖・池田湖、薩摩富士といわれる開聞岳をバックに、咲き誇る菜の花に出合った。
大地から光があふれ出すような明るい黄色と、春のやわらかい青空がとても清々しかった。
いつまでも眺めていたい風景だった。
ちなみに、池田湖にはイッシーが住んでいるらしい。

指宿は、日本で一番早く菜の花が咲くとは聞いていたけれど、まさか12月中旬でお目にかかれるとは。
見頃は12月下旬~2月初旬と知って驚いた。
2月の終わりに来たら、もうないってこと?
私が育った岩手では、菜の花は5月だった。
日本は広い。

ランチ取材は「唐船峡そうめん流し」へ。
今回の旅雑誌は、ライターが体験したことを書くスタイルなので、まずは実食。
目の前をくるくる回るそうめんを、湧水の流れる音を聞きながら、広々した空間でいただく。
これまた爽快で、お味も良く、楽しいランチだった。

 

そして、いよいよ指宿名物・砂むし温泉へ。
浴衣を着て肌寒い海岸を歩き、たった一人で砂浜に寝転び、砂をかけられたときには、私は女芸人か・・・と、正直思った。

砂かけが終わって、一人で放置された瞬間、思いがけない開放感に包まれた。
波の音を聞きながら、青空を見上げ、ほどよい重さの暖かい砂にくるまれていると、自分が地球と一体化したような、大地の一部になったような気分になるのだ。
・・・気持ちいい!!
これは、クセになる。

砂むし時間は10分ほど。
上半身を起こし、半分砂に埋まりながら海を眺めるのも爽快だった。
砂むしの後は、建物の中に入って浴衣を専用のボックスに収め、砂を落として温泉へ。
やわらかいお湯で、ほっこり癒された。

砂むし温泉の後は、古民家カフェを取材。
初めて来たのに懐かしい空間で、長居したくなる心地よさ。
オーナーご夫婦も素敵な方たちだった。

帰りは黒豚カツのお弁当を食べながら、幸せな旅の気分を満喫。


やっぱり、旅っていいな。
指宿は人も優しくて、素朴でホッとできるまちだった。
知覧や龍宮神社など、他にも見どころがたくさんある。
プライベートでまたゆっくり来るぞ!と心に誓い、無事に取材が終わった安堵感に包まれながら、車内ですーっと眠りについた。